周期性発熱症候群(PFAPA症候群)

 周期性の発熱、アフタ性口内炎、頸部リンパ節炎、咽頭扁桃炎を主症状とする疾患です。患者さんの多くは5歳以下の乳幼児期に発症し、日本での平均発症年齢は3.2才、成人発症は稀と言われてきましたが近年では成人で発症する症例や思春期を過ぎても自然寛解しない症例も見つかっています。

この疾患の実際例では、月1回の周期性の発熱が3-5日間と比較的長く続き、その多くが小児科を受診し「扁桃炎」と言われています。抗生剤投与を受けているケースがほとんどですが、「あまり薬が効いている感じがしない」「結局5日くらい熱が出て終る」「血液検査が悪くて入院をすすめられた」などの特徴があります。しかしその実態は、感染症などではない(抗生剤は不要!)「熱が勝手に始まって勝手に終る」という「自己炎症性疾患」に分類される熱の病気です。繰り返す扁桃炎として(無意味な)抗生剤治療を受けているケースや、耳鼻科で「反復性扁桃炎」として扁桃摘出術を受けているケースなど、正確な病態を理解されずに治療されている患者さんが多くいると思われます。

加古川西市民病院在職中より、このユニークなPFAPA症候群の臨床データを多く蓄積し、様々な症状の特徴や治療についての新しい知見を見いだし、日本(※文献1)のみならず世界(※文献2)に向けて情報発信をしてきました。医療者がこの病態を正確に理解することで、多くのこどもが「繰り返し困っていた」熱のエピソードから速やかに回復できることが分かっています。

また、一般には遺伝性はないとされていますが、実際には同一家族内に同様の扁桃炎を繰り返す人(親が幼少期から、現在も、など)がいるケースも結構あり、現在横浜市立大学遺伝学教室との共同研究で遺伝子解析を行っており、近い将来この病態が解明される可能性があります。このような扁桃炎で困っている親御さんなどの治療についても相談にものらせていただきます。

文献1

  • PFAPA症候群20例の臨床的検討:日本小児科学会雑誌 2012;116(5):835-841(2013年日本小児科学会小児医学研究振興財団アワードを受賞しました)

文献2

  • Adachi M, Watanabe A, Nishiyama A, et al. Familial cases of periodic fever with aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis syndrome. J Pediatr 2011; 158: 155-9. (世界ではじめての家族性に関する詳細なレポートです)

加古川周辺地区でのてんかん診療

加古川地区では、小児期から成人期に渡る長期的なてんかん診療ができる施設が限られている現状があります。加古川西市民病院在籍中より、市内のてんかん患者さんを診療している病院やクリニックの先生方にご協力頂き、周辺地域のてんかん診療の現状を明らかにしました。
(加古川市周辺地域におけるてんかん治療の現状と課題
 第3回加古川てんかんフォーラム 2013.11.30. )


その結果小児のてんかん診療は加古川西市民病院に依存し、成人期のてんかんは、精神科クリニックさんと脳外科救急病院、精神科病院で行われている状況が見えてきました。その中で「小児期から成人期まで継続するてんかん診療ができる」施設がないことが明らかとなりました。当診療所ではその役割を担うべく幅広い年齢のてんかん診療を引き受けております。

ボトックス治療

ボツリヌス菌がつくる毒素(きちんと製剤として販売されていますので安全です)を用いて、硬くなった筋肉を緩めることで運動障害を改善する治療です。 前任地(療育施設や加古川西市民病院)で約140名近くの患者さんに延べで600回以上の治療を行ってきました。一病院の小児科として、日本で一番多くの症例を治療し、全国へ発信してきました(論文1,2)。当診療所でも継続して治療を行っています。脳性麻痺の子どもから成人まで、またつま先歩きで困っている子どもなどでは、この治療により機能の回復や改善が見られています。おつきあいのある多くのリハビリの先生方と協力しながら、オーダーメイドで治療を行っております。治療に関心のある方は遠慮なくお問い合わせください。

論文1

  • 足立昌夫、他. 重症心身障害児(者)の痙性斜頸・過緊張に対するボツリヌスA型 毒素療法の初期効果. 脳と発達 2006; 38: 425-30.

論文2

  • 足立昌夫、他.重度肢体不自由児(者)に対するA型ボツリヌス毒素療法の有用性. 日本小児科学会雑誌112(8):1233-42, 2008.
ボツリヌス療法に関する情報サイト URL:http://botox.jp

結節性硬化症の治療

神経と皮膚を中心とした病変を発症する結節性硬化症(以下、TSC)という病気があります。この病気には、神経発達、てんかん、皮膚症状などに加えて、腎臓に大きな腫瘍を発症することが分かっています。小児神経科医として、幼小期から発達相談と指導、てんかん治療などで多くのTSCの患者様と出会い、お付き合いを続けてきました。その中で、市民病院勤務時代から抗腫瘍治療剤(アフィニトール)を用いてこの「腎腫瘍」を治療する試みを続けてきました。この治療には、本来の腫瘍縮小作用だけでなく、てんかん発作の改善、認知行動面での効果、皮膚症状(顔面の血管線維腫というできもの)の縮小効果など、TSC患者様の生活全体を改善する可能性を持ち合わせる大変ユニークな治療薬であることが分かってきました。現在当診療所では、日本の小児では全国最多の症例数を経験、安全性や有効性などについて様々知見を発見蓄積し、以下の講演活動などを通じて多くの情報を全国に発信してきました。
当診療所では、このTSCへの治療をその他のTSC診療(てんかん専門医療)と併せて提供させていただいております。ご興味のある患者様はご遠慮なくお問い合わせください。(TSC患者様であれば、小児から成人まで年齢は問いません)

主な講演活動

  • 結節性硬化症に対するmTOR阻害剤の長期使用経験   
    (結節性硬化症最新治療セミナー 2015.7 大津)
  • 小児科医が期待するTSCに対するmTOR阻害剤の効果   
    (阪神腎疾患セミナー 2013.11 尼崎)
  • 結節性硬化症の腎血管筋脂肪腫へのEverolimus投与とその評価
    (第54回日本小児神経学会近畿地方会 2013.10 大阪)
  • Session Ⅱ 結節性硬化症の新規治療戦略
    (TSC Days Japan 2013 2013.12 東京)
 参考サイト
結節性硬化症のひろば
 
URL:http://www.tsc-info.jp/index.html

結節性硬化症.jp
 結節性硬化症とアフィニトールに  
 関するサイト
URL:http://www.afinitor.jp/tsc/